Vol.1 — No.6 クリームチームマーケティング合同会社化粧品・健康食品D2C 意思決定のカウンターパート

化粧品・健康食品 ニュースレビュー

Cosmetics & Health-Food News Review
何紙も見て回らなくていい。今週の大事なニュースだけを、やさしく解説。
2026年7月27日(月)発行 収録 7/21〜7/24 化粧品3・健康食品2
今週は、締める側と伸ばす側の話が同じ週に並びました。東京都はネット・SNS広告377件に改善指導を出し、指導が最も多かったのは健康食品です。消費者庁はすべてのサプリメントへの表示規制の検討に入りました。一方でQoo10は受賞エンブレムの掲出で流通額が伸びたと公表し、政府はJビューティを7年で30兆円の市場に育てる方針を示しています。売り方の選択肢は増えていますが、増えたぶん何を根拠に言い、誰が売り、データがどちらに残るかを決める場面も増えます。今週は5本です。
健康食品

東京都、ネット・SNS広告377件に改善指導。指導が最も多かったのは健康食品

東京都が7月23日、インターネットとSNS上の広告を監視した結果を発表した。2025年度にネット広告178件、SNS広告199件に改善を指導し、合計で312事業者の377件にのぼる。監視件数はネット広告が1万6000件、SNS広告が320件。指導の内訳はネット広告が優良誤認の恐れ168件、有利誤認の恐れ70件、SNS広告が優良誤認の恐れ195件、有利誤認の恐れ151件。商品・サービス別ではネット広告が健康食品38%、雑貨21%、サービス19%、化粧品11%、医薬部外品9%、買取2%の順で、SNS広告は健康食品65%、医薬部外品17%、化粧品12%となった。事例として、成分の試験結果を商品自体の効果のように表示していたもの、リアルタイムランキング1位を数回獲っただけで「日本一」と表示していたもの、「送料無料」としながら送料相当分を価格に上乗せしていたものが挙がっている。出典:東京都 報道発表「令和7年度インターネット・SNS広告表示監視事業 実施結果」(7.23・無料)通販通信ECMO(7.24・要無料登録)

指導件数を商品・サービス別に見ると、ネット広告は「健康食品」(38%)、「雑貨」(21%)、「サービス」(19%)、「化粧品」(11%)、「医薬部外品」(9%)、「買取」(2%)の順。— 通販通信ECMO
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

SNSは監視320件に対して指導199件で、見られたものの6割超に指導が入っている計算です。しかも中身は有利誤認、つまり価格とオファーの見せ方で引っかかっています。挙がった事例はどれも今日確認できるものです。成分の試験結果を商品そのものの効果のように書いていないか。ランキング1位に、いつのどの区分かという但し書きがあるか。「送料無料」が価格に乗っていないか。「今だけ」が実際にいつまでか。今週できるのは、広告・LP・SNS投稿からこの4点に当たる表現を洗い出し、根拠と但し書きをセットで残すことです。表示の責任は出した側にあるので、代理店任せは通りません。

ポイント:SNSは監視の6割超に指導が入り、内容は価格・オファーの見せ方に集中。ランキング表記の但し書き、送料無料、期間限定の4点を今週洗い出す。

健康食品

消費者庁、すべてのサプリメントに表示規制を検討へ。用法・用量の明記も論点に

消費者庁の堀井奈津子長官が7月23日の記者会見で、すべてのサプリメントに表示規制を導入するため、摂取方法や1日摂取目安量、バランスの取れた食生活に関する文言なども念頭に置きつつ、どのような表示があればよいのかを今後検討していくと述べた。背景には、消費者庁が6月に公表した新開発食品調査部会の「中間とりまとめ」がある。同一の成分を含む製品が同一の名称で売られていても含有量が異なる場合に混乱が生じ得るとして、医薬品のように用法・用量の表示を検討すべきだと提言し、あわせて「基本はバランスの取れた食生活」という趣旨をパッケージに明記させることが必要だとしている。これまでの議論では、消費者が国の定義に該当する製品だと識別できるよう、パッケージに「サプリメント」と表示することを求める声も出ている。出典:通販通信ECMO(7.23・要無料登録)

同一の成分を含有するものが同一の名称で販売されていても、成分の含有量が異なる場合、混乱が生じ得るので、医薬品のように用法・用量の表示を検討すべき— 通販通信ECMO(消費者庁 新開発食品調査部会 中間とりまとめ)
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

まだ検討段階で、決まった規制ではありません。ただ論点が用法・用量とバランスの取れた食生活の文言に置かれているのは、これまでパッケージの裏面やLPの最下部で済んでいた情報が、表側に上がってくる可能性があるということです。1本目の広告指導と合わせて読むと、今週の話はどちらも「言い方」ではなく「示し方」を問われています。今週できるのは、主力商品のパッケージとLPで、1日摂取目安量がどこに何回出てくるかを数えることです。注意書き欄の中に1回しかないなら、先に表側へ出しておく。制度が動いてから刷り直すより、確実に安く済みます。

ポイント:裏面やLP最下部で済んでいた摂取目安量が表側に上がる可能性がある。今のうちにパッケージとLPでの露出回数と位置を確認しておく。

化粧品

ストリーム、化粧品で代理店販売とドロップシップを組み合わせた供給スキームを開始

家電のECサイト「ECカレント」を運営するストリームが7月22日、代理店販売とドロップシップ方式を組み合わせた新たな商品供給・販売スキームを発表した。今後順次提供を開始する。同スキームの対象は化粧品で、代理店が一般消費者に向けて商品を販売し、その後の代金回収や顧客対応も代理店が担当する。ストリームは受注情報に基づいて在庫管理、出荷、配送などの商品供給業務を担い、顧客へ商品を直接配送するドロップシッピング方式を採用することで、販売と物流を連携させた運営体制の構築を進める。市村智樹社長は、この取り組みで得られた知見を生かして新たな商品展開も視野に入れ、販売チャネルや顧客層に応じた事業展開を進めたいとしている。出典:日本ネット経済新聞(7.23・要無料登録)

同スキームでは、化粧品が対象となる。代理店が一般消費者に向けて商品を販売する。— 日本ネット経済新聞
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

役割の切り分けを見てください。売るのは代理店、代金回収と顧客対応も代理店、在庫と出荷は供給側。D2Cブランドが売上の頭打ちで卸や代理店に出すとき、多くは商流ごと渡してしまい、誰がいつ何を買ったかが見えなくなります。出荷を自社に残す形なら、購入者の住所と購入履歴は手元に残り、同梱物も自社で入れられます。今週できるのは、卸や代理店の話が来たときの条件表に、価格と最低ロットだけでなく「出荷は誰がやるか」「同梱物を入れられるか」「購入者データはどちらに残るか」の3つを足しておくことです。値入れの交渉より、この3つのほうが後から効いてきます。

ポイント:卸・代理店に出すと商流ごと渡して顧客が見えなくなりやすい。条件表に出荷主体・同梱物の可否・購入者データの帰属の3つを足す。

化粧品

Qoo10、ビューティ上半期アワードを初開催。受賞エンブレム掲出で流通額と転換率が伸びたと公表

eBay Japanが7月21日、ECモール「Qoo10」で販売するビューティ製品を表彰する「Qoo10 MEGA BEAUTY AWARDS 2026上半期」を発表した。年間アワードに加えて上半期でも実施することで、商品の権威性向上を支援する取り組みを強化する。3月と6月の「メガ割」の販売実績を年間アワードにつなげる中間総括という位置づけで、年間版は137賞、上半期版は50賞を設定。約147アイテムを対象に24万票の一般投票と約130万件のレビューを集計し、購買実績・一般投票・審査員評価の3軸で選定した。総合1位は韓国コスメブランド「COSRX」の美容液。カテゴリー賞に「インナービューティー」「カラコン」を追加し、特別賞として「いまから肌貯金賞」「自分らしさ賞」を新設した。受賞商品は商品ページ、サムネイル、店頭POPで受賞エンブレムを掲示できる。出典:日本ネット経済新聞(7.21・要無料登録)

前回受賞した日本ブランドで高い成果が出ている。受賞前のメガ割と、受賞後にエンブレムを掲載したメガ割を比較したところ、1日の平均GMV(流通額)が140万円から166万円に拡大し、平均CVRが11.9%から12.1%と向上した— 日本ネット経済新聞(eBay Japan 戦略マーケティング室 モラーノ絢香部長)
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

数字の読み方に注意が要ります。GMVは140万円から166万円で2割近く伸びていますが、CVRは11.9%から12.1%で0.2ポイントです。伸びの大半は転換率ではなく、流入や購入点数の側から来ていると読めます。エンブレムは迷っている人の背中を押すというより、見に来る人を増やす効きです。自社に当てるなら、第三者評価は商品ページの中だけに置かず、広告のサムネイルやモール検索の一覧に出してはじめて効きます。今週できるのは、自社の受賞歴・ランキング実績・レビュー件数のうち、一覧の段階で見えているものがどれかを確認することです。

ポイント:受賞表示はCVRより流入に効いている。第三者評価を商品ページの中で終わらせず、広告サムネイルと検索一覧に出す。

化粧品

Jビューティを7年で30兆円へ。秋から年末に業界横断のコンソーシアムを立ち上げ

自民党有志によるJビューティ産業研究会が7月13日に第8回会合を開き、政府の展望が明らかになった。政府の「成長戦略」「骨太の方針」「知的財産推進計画」の3つの文書に「Jビューティ」の文言が明記され、国家の成長政策として正式に位置づけられたと報告された。今後7年間で30兆円の市場に育てる考えで、秋から年末にかけて複数の美容系業界団体で構成されるコンソーシアムを立ち上げる予定。内閣府・経済産業省・厚生労働省の3省庁が連携し、ジェトロを通じた海外展示会への出店支援、市場調査、専門家による伴走支援、海外規制の統合データベース構築を進める。民間側では日本化粧品工業会などがJビューティ民間コンソーシアムを9月に準備委員会、12月に正式設立する。会合では、韓国の強力なOEM体制による開発スピードに対抗するため国内サプライチェーン全体のレベルアップが必要だという指摘や、国内の優れた美容事業者が海外資本に買収される事例への懸念も出た。出典:日本ネット経済新聞(7.23・要無料登録)

今後7年間で、Jビューティを30兆円の市場に育てていく考えだという。秋から年末にかけて、複数の美容系の業界団体で構成されるコンソーシアムが立ち上げられる予定。— 日本ネット経済新聞
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

中小D2Cがすぐ動ける話は多くありませんが、1つだけ具体があります。施策に海外規制の統合データベース構築が入っている点です。越境を止めている理由の上位が、相手国の成分規制と表示ルールが調べきれないことなので、ここが整えば出せる会社は増えます。今週できるのは、主力商品の全成分表と、処方や試験の根拠資料が社外に出せる形で1か所にまとまっているかを確認することです。支援制度が動き出したとき、資料が各所に散らばっている会社は申請の段階で止まります。なお30兆円は7年後の目標値で、現在の市場規模ではありません。

ポイント:越境支援の中身に海外規制データベースが入っている。全成分表と根拠資料を社外に出せる形で1か所にまとめておく。30兆円は目標値。

本紙について 化粧品・健康食品の大事なニュースを毎週1ページにまとめ、むずかしい言葉をかみくだいて解説しています。
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