Vol.1 — No.2 クリームチームマーケティング合同会社化粧品・健康食品D2C 意思決定のカウンターパート

化粧品・健康食品 ニュースレビュー

Cosmetics & Health-Food News Review
何紙も見て回らなくていい。今週の大事なニュースだけを、やさしく解説。
2026年6月29日(月)発行 収録 6/19〜6/29 化粧品4・健康食品3
先週は「AIで一人ひとりに合わせる」流れを取り上げました。今週のテーマは選ばれ続ける土台。何に絞るか、どう続けてもらうか、どこで・どう試してもらうか。大手から人気D2Cまで、業界紙とネット通販メディアの今週のニュースを、現場の動きに引き寄せて解説します。
化粧品

資生堂、売れ筋に絞る「ヒーロープロダクト戦略」で2ケタ成長

資生堂が「エリクシール」で、看板となる1つの商品(ヒーロープロダクト)に資源を集中する戦略を進め、2025年のブランド売上が前年比2ケタ成長。看板商品を入口に、化粧水・乳液の愛用者が増え、別アイテムへの広がり(クロスセル)も生まれている。出典:週刊粧業オンライン(6.23)

ブランド全体で化粧水・乳液の愛用者が増加、クロスセルなど提案にも広がり。19年連続で国内スキンケア市場売上No.1となっているが、この大胆な戦略転換でその地位をより盤石にしている。— 週刊粧業オンライン
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

世界的な大手ですら「あれもこれも」ではなく、看板を1つ決めてそこに集中しています。これは予算もチームも限られる小さなブランドにこそ効く考え方です。やることは2つ。まず「うちはこれ」と言える看板商品を1つ決める。次に、その1つで満足してくれたお客様に、相性の良い次の品(化粧水→乳液など)を順番にすすめる。新商品を増やし続けるより、看板を磨いて買い回してもらうほうが、同じお客様あたりの売上(LTV)は伸びます。広告も「全部」ではなく看板1つに寄せると、少額でも学習が回ります。

ポイント:看板商品を1つに絞る→満足した人へ次の品をすすめる(クロスセル)。広げる前に、まず1つを磨く。

化粧品

花王、日やけ止めの「習慣化」をねらう新カプセル技術

花王が独自のカプセル技術を使い、日やけ止めを毎日無理なく塗り続けてもらう「習慣化」を狙った開発を発表。良い成分を作るだけでなく、使い続けてもらう設計そのものを商品力にする動き。出典:週刊粧業オンライン(6.25)

山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

大手は「習慣化」を技術で解こうとしています。でも、続けてもらう工夫は最新技術がなくてもできます。小さなブランドの武器は、商品が届いたあとの設計です。同梱物で使い方とタイミングを一言添える、初回後のステップメールで「3日目どうですか」と声をかける、定期便で買い直す手間をなくす。これだけで「使い切る前にやめる」を減らせます。良い中身を作ることと、使い続けてもらう仕組みを作ることは別の仕事で、D2Cの勝敗は後者で決まります。技術で勝てなくても、関係づくりの設計では大手と十分に戦えます。

ポイント:「使い続けてもらう設計」は技術がなくてもできる。同梱物・ステップメール・定期便で習慣化を支える。

化粧品

コーセー、「推し」とつながるネイルシールで化粧に新しい価値

コーセーが、好きな対象(推し)とつながれるネイルシールを提案し、化粧の価値を「きれいにする」から「好きを楽しむ」へ広げる新発想を提示。機能だけでなく、感情や物語で選ばれる商品づくりの一例。出典:週刊粧業オンライン(6.25)

山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

機能(よく落ちる・よく持つ)で他社と並んだとき、最後の決め手になるのは感情です。「これが好き」「この物語に共感する」という理由は、価格競争から抜け出させてくれます。小さなブランドこそ、これは作れます。なぜこの商品を作ったのか、どんな人に何を届けたいのか。その背景を、商品ページやSNS、同梱の手紙で語る。お客様が誰かに話したくなる「語れる一言」があると、口コミが回り、広告に頼りすぎない集客につながります。成分は真似できても、ブランドの物語と関係性は真似できません。

ポイント:機能が横並びになったら、感情と物語で選ばれる。「なぜ作ったか」を語り、お客様が話したくなる一言をつくる。

化粧品

Qoo10が語る韓国コスメ最新トレンド、「お試し」と「成分」と「飲む美容」

Qoo10を運営するeBay Japanが、最近の韓国コスメのトレンドを4つ提示。成分重視、ナチュラル/マルチコスメ、まず試せるミニサイズ、ホームケアの広がり。飲む美容(インナービューティー)はビューティー全体の2倍超のペースで伸び、国内ブランドも好調という。出典:日本ネット経済新聞(6.29)

インナービューティーの成長率はビューティーカテゴリー全体の成長率を大きく上回っている。近年はビューティー分野の成長率の二倍以上のペースで拡大している。— 日本ネット経済新聞(eBay Japan キム・ジェドン氏)
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

勢いのある韓国コスメは、脅威ではなく「売り方の教科書」として見るのが得です。中小がすぐ取り入れられる点が3つあります。1つ目はミニサイズ。高い本品の前に、安く試せる小容量を置くと、初回の心理的なハードルが下がります(お試し→本品→定期の順番)。2つ目は成分の見せ方。成分重視が強まっていますが、化粧品は薬機法で「効く」と言い切れません。成分を語るなら「なぜその成分か」「どう使うと心地よいか」という体験の言葉に翻訳します。3つ目は飲む美容の伸び。化粧品と健康食品の境目が溶けているので、肌悩みを入口に、外側のケアと内側のサプリを自然につなげます。韓国流の型を取り入れたうえで、最後は日本のブランドらしい関係性と物語で差別化する。これが現実的な勝ち筋です。

ポイント:ミニサイズで「お試し」の入口を作る。成分は薬機法の範囲で体験の言葉に翻訳。飲む美容で外と内をつなぐ。韓国の型は取り入れて、その上で差別化。

健康食品

オーガランド、生理前の「晴れない気分」に絞った機能性表示サプリ「ルナタイム」

ネット専売のサプリ専門店オーガランドが、月経前の不調(PMS)に悩む女性に向けた機能性表示食品「ルナタイム」を発売。「女性向け」と広く構えず、「生理前がつらい人」へ的を絞ったフェムケア商品。出典:健康美容EXPO(6.23)

「月経前の不調(PMS等)」で生活に支障がある人の割合は、6割を超えるという調査結果が明らかになりました。— 健康美容EXPOニュース(オーガランド発表)
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

「女性のためのサプリ」では誰の心にも刺さりません。この商品の上手さは、対象を「生理前の、晴れない気分と眠りに悩む人」まで絞ったところです。悩みを名指しされると、人は「これは私のことだ」と感じます。顧客像を一文で言えるかが、初回に選ばれるかの分かれ目です。狙う相手を絞ると市場が小さくなる気がしますが、逆です。刺さる言葉で深く届くから、価格を下げずに選ばれます。注意点は表現です。健康食品は景品表示法と機能性表示の範囲を超えられません。「治る」ではなく、届け出た「晴れない気分の軽減」「睡眠の質の向上」の範囲で、生活の場面に寄せて語るのが正解です。

ポイント:「女性向け」と広げず、悩みで顧客像を絞ると深く刺さる。表現は届け出た機能性の範囲内で。

健康食品

VALX「ハイブリッドプロテイン」が発売直後に品薄、Amazon1位

フィットネスD2CのVALXが5月28日発売した「ハイブリッドプロテイン」が、Amazonのマルチプロテイン売れ筋ランキングで1位となり、各チャネルで品薄に。吸収の早いホエイと、ゆっくり留まるソイを組み合わせ、「ホエイかソイか」の二択に新提案。通常4,380円・定期3,974円。出典:日本ネット経済新聞(6.23)

発売直後から想定を上回る注文が寄せられ、Amazonではチョコレート風味が一時完売し、楽天市場でも両フレーバーの初回納品分が完売するなど、各販売チャネルで品薄状態が続いている。— 日本ネット経済新聞
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

「ホエイかソイか」という二択に、両取りという新しい選択肢を出したのが上手いところです。差別化は珍しい成分の強さだけでなく、「組み合わせ方」や「飲みやすさ」でも作れます。一方で、品薄は人気の証であると同時に機会損失でもあります。せっかく初回で「買いたい」と思ってもらえたのに、在庫切れで離れてしまうのはもったいない。D2Cでは、在庫と供給の設計も、続けて買ってもらう(LTV)ための立派な準備です。発売前の需要予測と、初回の生産量をどう置くか。攻めの企画と同じくらい、ここを詰めておきたい。定期価格を通常より下げて継続の入口を作る設計も参考になります。

ポイント:成分の強さでなく「組み合わせ」と「飲みやすさ」でも差別化できる。品薄=機会損失。在庫・供給設計もLTVの一部。

健康食品

ファンケル「カロリミット」シリーズ、累計1億袋を突破

ファンケルの機能性表示食品「カロリミット」シリーズの累計販売が、2000年5月からの約26年で1億袋を突破。最上位「プレミアムカロリミット」の新CM(井川遥さん起用)も6月16日から全国で放映を開始した。出典:日本ネット経済新聞(6.19)

「カロリミット」シリーズは、2000年5月から2026年1月までの累計販売実績が1億袋を超えている。— 日本ネット経済新聞
山口尚大山口の視点クリームチームマーケティング代表

注目すべきは新CMよりも「20年以上売れ続けている」事実のほうです。1億袋という数字は、広告で一気に作ったものではなく、続けてもらう設計(機能性表示の安心感と、買い直しやすい定期の仕組み)を地道に積み上げた結果です。中小がタレントを起用したCMを真似る必要はありません。学ぶべきは、定番をコツコツ磨いて、同じお客様に長く買い続けてもらう型のほう。新規をたくさん集めるより、F2(2回目の購入)と継続を丁寧に設計するほうが、結局は強い数字になります。表現は届け出た機能性(糖や脂肪の吸収を抑える)の範囲にとどめ、強い言い切りに頼らないのも、長く売り続けるための基本です。

ポイント:1億袋は広告でなく「続けてもらう設計」の積み上げ。新規より定番とF2・継続を磨く。表現は届出範囲で。

本紙について 化粧品・健康食品の大事なニュースを毎週1ページにまとめ、むずかしい言葉をかみくだいて解説しています。
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