今週は定期購入に関するニュースが並びました。ベルーナは化粧品で新規を増やしたのに減収減益。健康食品は新規が足りないのに増益でした。理由は継続率の差です。国民生活センターの集計では定期購入の相談が約9万8000件。一方でSHIRORUは24時間の解約対応を持ちながら売上の8割超を定期が占めています。制度面では機能性表示食品のGMPが9月1日に完全施行。届出の期日は延ばせないと明記されました。カゴ落ちの調査も公表されました。新規を増やす前にいま続いている顧客と手元の届出を確認してください。今週は5本です。
化粧品
ベルーナ、化粧品通販は新規が増えたのに減収減益。差がついたのは定期継続率
ベルーナが7月31日に発表した2027年3月期第1四半期の連結決算は、売上高が前年同期比2.7%増の521億8500万円、営業利益が同21.8%減の12億4400万円、純利益が同27.2%増の9億3900万円だった。このうち化粧品・健康食品通販は売上高が同15.0%減の24億3500万円、セグメント損失4300万円と落ち込んだ。内訳では、化粧品は新規獲得が前年同期から増加したものの、定期継続率の低下と広告宣伝費の増加によって減収減益。健康食品は新規獲得が不十分だった一方、既存顧客の定期継続率が改善して減収増益となった。アパレル・雑貨通販は売上高が0.9%減の約196億円だが、紙媒体の発行数削減で利益は23.0%増。グルメ通販は6.4%増の65億5700万円で、ワイン通販が好調だった。出典:通販通信ECMO(8.3・無料)
化粧品については新規獲得が前年同期から増加したものの、定期継続率の低下や広告宣伝費の増加などによって減収減益に。— 通販通信ECMO
山口の視点クリームチームマーケティング代表
同じ会社の同じ四半期で化粧品と健康食品の結果が逆になりました。化粧品は新規が増えて減益。健康食品は新規が足りないのに増益です。差がついたのは継続率でした。新規の件数は広告費を増やせば増えますが、継続率は広告では上がりません。申し込み時に伝えた内容と、届いてからの満足度で決まるからです。直近3カ月の新規を獲得した月ごとに分けて、2回目と3回目の継続率を比べてみてください。獲得が増えた月ほど継続率が低いなら、広告の訴求と商品の中身にずれがあります。1社の四半期の数字ですが、どこから確認すべきかの参考になります。
ポイント:新規の件数と継続率は別々に見る。獲得した月ごとに2回目と3回目の継続率を比べ、獲得が増えた月ほど低くないかを確かめる。
健康食品
2025年度の消費生活相談は100万件。通販が38.0%、「定期購入」は約9万8000件
国民生活センターが8月5日、2025年度の消費生活相談の状況を発表した。相談件数は前年度比で約9万件増の100万6000件。販売・購入形態別では「通信販売」が最も多く全体の38.0%を占め、前年度から4万6000件増えた。以下、店舗購入19.9%、訪問販売7.8%、電話勧誘販売6.6%と続く。販売方法・手口別では「インターネット通販」が約22万件で最多、2位の「定期購入」が約9万8000件で前年度を上回った。商品・サービス別では「商品一般」「化粧品」「賃貸アパート・マンション」「健康食品」が上位に並んだ。増加が目立つのは賃貸住宅、紳士・婦人洋服、ネット接続回線、エステティックサービスとしている。出典:通販通信ECMO(8.6・無料/国民生活センター発表)
「化粧品」「健康食品」では、SNSやインターネット上の広告をきっかけとしたネット通販の定期購入に関する相談が多数寄せられた。— 通販通信ECMO
山口の視点クリームチームマーケティング代表
定期購入の相談が約9万8000件。化粧品も健康食品も商品別の上位に入りました。ここは景品表示法と特定商取引法の両方が関係する部分です。指摘を受けてから直すより、先に直すほうが負担は小さくて済みます。自社の申込画面を一度ご自身で最後まで通してみてください。支払総額、回数の縛り、解約の連絡先と受付時間。この4つが申込ボタンの手前で一度に確認できるでしょうか。確認できないようであれば、その修正を最優先にしてください。もちろん条件をはっきり書けば申込数は少し落ちます。ですが、そこで落ちる人は後から解約や相談になりやすい層です。
ポイント:定期購入の相談は減っていません。申込ボタンの手前で総額と回数と解約方法が一度に確認できるかを最後まで通して見る。
健康食品
機能性表示食品、9月1日にGMPが完全施行。自己点検の報告は期日を過ぎたら認められない
消費者庁が8月5日付で、7月6日に開いた機能性表示食品制度の説明会について、質問と回答をまとめた資料(全22問)を公表した。柱は、令和8年9月1日に完全施行されるGMPに基づく製造管理の要件化。機能性関与成分を含む原材料の同等性・均一性はロットごとの確認が必要とし、海外の製造施設については施設訪問に代えて届出者への聞き取りで確認する方法を示した。原材料の製造施設と2次包装施設はGMP準拠を必須としない。自己点検等報告については、販売を休止している届出や製造販売の実績がない届出も対象になるとし、期日を過ぎた報告は一切認められないと明記した。対応がない場合は機能性表示食品としての要件を欠き、販売できなくなる。続けるには新規に届出を行い、新しい届出番号を取得し直す必要がある。令和8年8月31日までに旧パッケージで製造した製品は9月1日以降も販売できるが、製造時期を示す記録の保管が望ましいとした。GMPの自己点検指針は9月までに作成・通知する予定。出典:消費者庁(8.5・無料)/届出データベースの更新は健康美容EXPO(無料)
期日を過ぎての自己点検等報告は一切認められません。期日までに自己点検等報告の対応がない場合、機能性表示食品としての要件を欠くこととなり、機能性表示食品として販売することはできません。— 消費者庁「機能性表示食品制度に関する説明会」質問と回答
山口の視点クリームチームマーケティング代表
届出の管理は担当者ひとりに集まりがちです。だから担当が代わると期日の把握が止まります。期日を1日過ぎると届出番号は使えなくなり、取り直しになります。制度の話に見えますが、実際は社内の管理の問題です。まず全届出の自己点検等報告の期日を一覧にして、誰が担当するかを決めてください。休止中の届出も報告の対象です。8月5日付の更新では撤回が25件ありました。うち14件は同じ会社の同一シリーズで、事由はいずれも「販売予定がないため」です。使っていない届出は続けるか撤回するかを9月までに決めます。
ポイント:届出ごとの期日を一覧にして担当者を決める。休止中の届出は続けるか撤回するかを9月までに判断する。
化粧品
SHIRORU、売上の8割超が自社ECの定期購入。転機は半年間の拡大停止だった
化粧品ブランド「SHIRORU」を展開する同社の売上高が、35億円規模に拡大した。TPCマーケティングリサーチの調査では、主力の炭酸泡洗顔料「クリスタルホイップ」が国内売上1位を獲得している。外部資金に頼らず自己資本のみで成長した点が特徴で、発売直後に注文が殺到した際は資金と在庫が不足し、半年間にわたって事業拡大の停止を余儀なくされた。この期間に既存顧客との関係強化と手続きの自動化を進め、24時間の解約対応を含む運営体制を確立したという。無理な売上拡大を避け、4年間は役員報酬をゼロにするなど健全経営を貫いた。売上の8割超を自社ECサイトの定期購入が占める。今後は生産・品質管理・PR体制を強化し、中東や中央アジアなど競合の少ない地域への海外進出、来年に新ブランド2種の投入、3年後をめどに売上高100億円規模を目指す。出典:日本ネット経済新聞(8.6・要無料登録)
毛穴汚れを絡め取る弾力のある泡が支持を受け、売り上げの8割超を自社ECサイトの定期購入が占めているという。— 日本ネット経済新聞
山口の視点クリームチームマーケティング代表
注目したいのは24時間の解約対応です。解約しにくくすれば短期の継続率は上がります。短期的には数字がよく見えます。ただし解約しにくい設計は、相談や悪い口コミにつながります。この会社は逆で、解約しやすくしたうえで売上の8割超を定期が占めています。解約しやすいのに続いているなら、その理由は商品そのものと購入後の体験にあります。自社の解約導線を一度ご自身でたどってみてください。電話だけになっていないか。受付は平日の日中だけか。売れている最中に半年止めて体制を整えた判断も参考になります。資金と在庫に限りのある会社ほど現実的な選択です。
ポイント:解約のしやすさと高い定期比率は両立します。自社の解約導線を自分でたどり、解約しにくさで継続率を保っていないかを確かめる。
化粧品
カゴ落ち率は63%。化粧品は52.6%で最も低く、カゴ落ちメールの開封は42%
e-365が7月31日、カート離脱対策サービスの利用ログをもとにした2026年上半期のカゴ落ち動向調査を公表した。対象は月商500万円以上のECサイト延べ2250件、集計期間は2026年1〜6月。平均カゴ落ち率は63.48%で、機会損失額は実売上の約2.85倍。1月は3.09倍と最も高かった。業種別の機会損失倍率はアクセサリー・時計4.42倍、家具3.60倍、スポーツ2.91倍、アパレル2.86倍、日用品2.53倍、趣味2.19倍、化粧品1.70倍、食品1.26倍。カゴ落ち率はアパレルの68.60%が最も高く、化粧品は52.60%と最も低い水準だった。カゴ落ちメールの平均開封率は42.0%で、一般的なメールマガジンの10〜15%の約3倍。上半期の累計売上創出額は約31億4900万円としている。生成AIの普及で、カートに入れたあとAIに相談して離脱するケースが増える可能性にも触れた。出典:ネットショップ担当者フォーラム(8.3・無料)
また「日用品」は59.10%、「趣味・娯楽」は57.90%、「食品」は53.00%、「化粧品」は52.60%だった。— ネットショップ担当者フォーラム
山口の視点クリームチームマーケティング代表
化粧品のカゴ落ちは52.6%で、業種の中では最も低い水準です。機会損失も実売上の1.7倍と小さいほうです。購入前に迷う要素が少ないカテゴリーなのだと思います。それでも半分は離脱しています。有効なのがカゴ落ちメールです。開封率42.0%はメールマガジンの3倍。商品を選んで金額まで確認した人なので開封されます。まず自社で配信しているかどうかを確かめてください。配信しているなら、1通目が何時間後に届いているか。定期の初回申込は直前で迷う人が多いためです。当日中に届くのと翌日とでは結果が変わります。値引きを増やすのはその後で十分です。
ポイント:化粧品のカゴ落ちは業種の中で最も低いものの、それでも半分は離脱している。カゴ落ちメールの配信有無と1通目の送信時間を確かめる。